院長ブログ

記事一覧

歯を抜かない治療

「歯が長持ちする治療」の項でも説明しましたが、末期的な状態でなければほとんどの場合、歯を抜かずに済みます。20年程前からインプラント治療と審美歯科治療の流行により、抜かずに救える歯を安易に抜歯してインプラント治療や審美治療を勧める歯科医師が増加してしまいました。「アメリカの歯科事情と日本の歯科事情」の項で説明しましたように、お金はかかるけれども面倒な治療はせずに悪い歯はさっさと抜いてインプラント治療で早く綺麗に治そうというアメリカ的治療が日本にも浸透してしまいました。そのため、もし抜歯と診断された場合、歯を抜きたくなければ歯科医の説明をうのみにせず、セカンドオピニオンを求めて歯を抜かずに助けてくれる歯科医院を探して治療してもらうことが賢明だと思います。日本には、世界中のどの国よりも、文化・社会的背景と保険制度の充実により歯を抜かない治療を行いやすい土壌があります。しかし、歯を抜かない治療は、多種多様の技術を組み合わせないと出来ません。そのため、歯を抜かない総合的技術を身に付けている歯科医は、それほど多くはありません。抜かずに歯を助ける技術を以下に挙げてみます。
① 歯根の深くまで及んだ虫歯(健康な歯根の長さが6~8ミリは残らないと抜歯を検討)を救うには、歯が植わっている骨から歯根を引っ張り上げる技術が必要になります。
(部分的矯正治療)
② 歯根の深くまで及んだ虫歯を救うもう一つの方法は、歯根を極力傷つけないように抜歯して虫歯を除去してから、残った歯根を抜いた元の穴に戻す技術(外科的挺出術)。
③ 歯根の先にできた繰り返し腫れて膿を出す病巣を治す技術は、外科手術により歯根の先を直視して、根尖付近にある病巣の原因である汚染部を除去し、歯根の先を強力な接着剤で封鎖する技術(歯根端切除封鎖術)。
④ 中等度、重度歯周病の歯を助けるには、歯科医及び歯科衛生士が行う歯周基本治療(基本治療と言っても技術的難易度が高く、長期のトレーニングが必要)の徹底と患者さんが自ら行う自己管理(徹底した歯ブラシ、食生活・生活習慣の改善)の相乗効果により、ほとんどの患者さんが治ります。部分的に治らない歯に対しては、歯周病の手術(歯周外科)を行い経過観察することもあります。
⑤ 現在では、再生療法としてインプラント治療に必要な顎の骨を再生する技術と、歯周病にかかっている歯の周りの失った骨と歯根膜(歯根の表面に結合している重要な組織)を再生する技術が確立し臨床応用されています。重症な歯周病の歯を抜かないで助けるために再生療法を利用することもあります。
⑥ 以上の他に②でも触れた方法の適応範囲を広くした再植術や、機能していない歯を歯がない場所に移植し咀嚼しやすくしたり、残存歯の配置換えにより咬み合わせのバランスを整えたりする移植術を利用して抜かずに歯を助けることもあります。
⑦ 最近、高齢化に伴い歯を割ってしまう患者さんが増えています。歯を縦に割ってしまうと現在の考え方では一般的には抜歯が正しい治療とされています。大学病院などの専門病院に行っても抜歯と判断されます。しかし、歯が割れて亀裂が広がっておらず割れてからそれほど期間が経っていない場合は亀裂部分の汚染も少ないため接着再植という特殊な治療法で抜かずに延命させることが出来ます。
以上挙げました全ての技術を身に付けた歯科医でないと、歯を出来るだけ抜かない治療は出来ません。新井歯科では、全ての技術を身に付けていて長期に渡る成功経験も多く、他院で抜歯と診断された多くの歯を抜かずに助けています。一方で、歯を抜かなければならない場合とは、健康な歯根が6㎜以下しか残らない進行した虫歯、支えている骨を歯根の先まで失った歯周病の歯、縦に真っ二つにひび割れして汚染期間が長い歯、これら3つの場合は歯を抜かずに助けることは出来ません。
スポンサーサイト